どんな店にしたい?応用編〜立て直しには可視化が効く〜
こんばんは。mikaccoです。
実はこのサイト、何年経っても「どんな店にしたい?」の記事が一番人気。(ありがとうございます!)
悩める店長さんが「うちの店どうすりゃいいんだよ~」と途方にくれて、グーグル先生に「どんな店にしたい?」って質問した結果たどり着いているんじゃないかと。
まあ、でも、店長がいちばん悩むのってやっぱりココだよな~と改めて思ったので
第2弾を書いてみたいと思います。
第1弾で書いたのはですね、自分でもすごくよくはまったというか、上手くいった事例だと思っています。
うまくいかない可能性もすごくあったと思う。うまくいったのは、気づかせてくれたスタッフがいたから。(この話はそのうちしたいです。)
逆にうまくいかなくて、もうその店がある周辺には行きたくないと思う店もあります。
でも、悩める店長さんたちがうまくいく可能性を高めるには、事例を知ることが近道だと思うので、今日は別のお店の成功事例をご紹介したいと思います。
とあるビルインの店舗。駅から徒歩7分という微妙な立地で、雨の日は極端に売上が落ちます。そして若者向けのビルなので客単価が低い。買い上げ率は立地が悪いからこそ実は悪くない(目的買いの人がそこそこ来る)けど、取り立てて高いわけでもない。(どないやねん)
さらに、オープンして1年ほど経つ店だったのですが、育成が全然進んでおらず、レジが!打てないスタッフが!複数いる!(逆に何してたか気になるわ)スタッフは主婦と学生がメインで朝と夜は人がいるけど、真ん中の時間帯が不足気味。(総数は足りてるけど時間帯で足りない時間がある)
育成が進んでいないから売場の状況も悪くて、会社の基準を100とすると、いつも50くらいしか品出しされていない。(さては新人に碌に教えもせずに品出しさせてたな?)
売場の状況が悪いから、売上も達成せず、スタッフが育成されていないから人件費もかかる。
この店、実は前述した店と同じエリアにあって、GWに回ってなさすぎて上司命令で応援に行ったことがあります。
そのとき「こんな店ぜったいやだな~」と思っていたらまんまと配属になったという。(これは上司の陰謀 期待の表れですね!)
こんな店に配属になったら、あなたならどんな店にしたいですか?
引継ぎを受けて、着任して、私が最初にスタッフにお願いしたこと。
それは、当たり前のことを、当たり前にやりましょう、ということでした。
ゴミ落ちてたら拾う、売場に商品が出てなかったら出す、といった当たり前のことを当たり前にやろうよ!という分かりやすいことしか言いませんでした。
もう、取り敢えず目に見えるところから、がしがし改善していこうと。
テーマは「可視化」です。
もう一つ言い続けたことがあって、それは「一番になりましょう」ということ。
「ダメ店舗」と見られることって、辛いことだと思うんですよ。GWという最繁忙期に、近隣店舗の店長たちがこぞって自分の店を終わらせて応援にくる店、で働くスタッフたち。真面目な人ほど「自分たちはちゃんと出来ていないんだな」と落ち込んでしまうと思います。
着任して、例のごとく全員と面談をして、「この店、もっと良くなるな」という確信がありました。ぶっちゃけて言ってしまうと、実力もない、人としての優しさもない店長の元で、何とかお店を良くしようと頑張ってきた人たち、だったんですね。でも、やり方が分からない。
だから、お客様目線で見ておかしいところはすぐ直そう、と伝え続けました。
そして、基準が分からない人にはトレーニングします、キャリアアップしたい人はこちらもそのつもりで仕事任せます(教えます)、ということをひとつひとつ当たり前に、しかもスピーディにやっていきました。
最初に成果が出たのは売場。
各社、いろいろ報奨制度があると思うのですが、私が働いていた会社では毎月イケている売場を維持した店を表彰する制度がありました。その賞を、着任して1か月でいただくことができました。
これは思いっきし狙ってやりました。物理的に変えれば良いだけなので、売場を変えるのは実は簡単なんです。
どうやったかというと、すっごく分かりやすい仕組みを作りました。学生が多いということを先述しましたが、だいたい18:00くらいに出勤してくるので、バックヤードで朝礼をするんですね。
その時に「今日品出しして帰る分の在庫」を並べて見せてました。「今日はこれ全部出したら帰れます」と。
まさしく可視化。それはもう皆、テキパキ動きます。
「ゴールが見えてるマラソン」だから、達成感もあるんです。
売場の陳列の基準も、1スパン見本を作って「はい、これと同じようにお願いします」っていうと、説得力ありますよね。これも可視化。
(いきがってたアルバイトの男の子が、「やべー店長うめー」って焦るのとか快感でした)
売場が落ち着いてきますと少し手が空いてくるので、その次は育成。
育成するときはトレーナー教育から!という話は書きましたが、もう一つ重要なことに、「予告する」「ちゃんと時間をとる(予告したとおりトレーニングする)」ということがあります。
「育成計画」と「ワークスケジュール」を連動させましょう、ということです。
「今日時間があいたからやろっか!」
「今日忙しいからやっぱ無理!」
どっちもダメダメです。
まず、予告することで、トレーニー(育成される人)の心の準備ができます。
なんなら、ちょっと予習しておこうかな・・とちょっと時間が空いたときに、その業務ができる人に話を聞いたり、マニュアルを読んだりするようになります。
だって、新しいこと教えてもらえるのって、うれしくないですか?(しかもお給料貰って!)
育成するよって言われたスタッフは、期待されてるということだからモチベーションも上がりますよね?(というかそういう方向に仕向けるのが店長の仕事だ!)
だから、「忙しいからやっぱ無理」がダメな理由は・・・わかりますよね。上げたモチベーションを地に叩き落す行為です。
ということをやっていった結果、どうなったかと言いますと、着任してから半年で、売上も上がり、売場も報奨の常連になり、新入社員を迎え入れる(=安定していて教育に専念できる店舗ということ)までになりました。
昇格者も何名か出して、私自身も良い評価をいただいてお給料が上がって。売上が上がる=お客様にも満足していただき、ディベロッパーさんに支払う賃料も増えたのでディベロッパーさんも喜び、スタッフも出来ることが増えて、達成感も味わって、お給料も増えて、皆がHAPPYな結果となりました。
「一番優先順位の高いこと」を「誰にでもわかるように=可視化して」「伝え続けた」ということがここで上手くいった要因だと 思っています。
いわゆる立て直し店舗に配属になった時って、いろいろとやばすぎて何からやったら良いかわからなくなりがちだと思うのですが、「目に見えるところから変える」「物理的に変えられるところから変える」というのが分かりやすくて良いと思います。
あとは、この店舗はスタッフがみんな真っ直ぐな心を持った良い方ばかりだったので、それが本当に良かったですね。
人間関係の悩みが本当になかった。だからこそ課題に集中することができたとも言えます。