どんな店にしたい?
店長お悩み相談室(になったらいいな)第一弾。
私が新人店長の時に、尊敬する大先輩から言われたこと。
「その店をどんな店にしたいかを決めるのが、店長の最初の仕事。」
今日は、新人店長としてお店に着任したらまずやるべきこと(私がやったこと)を書きたいと思います。
私が新人店長として着任したお店は、経営的に問題がありました。エリアの中でも最も売り上げが低く、利益率も低く、品揃えも(会社の方針で)限られた店舗でした。近くに大型のショッピングモールができて、明らかにお客様をとられている状況でした。
私は、何から始めたら良いものかと悩みました。
答えが出ないときはひたすらインプット、ということでまずはスタッフ全員と個別面談。
すると、スタッフの言葉の中にヒントがたくさん詰まっていました。
私が着任したお店は、小さいながらも常連のお客様が多く、お客様を大切にしているスタッフが多い店でした。
そんな中で私が決めた店の方針は2つ。
- いつきてもストレスフリーで買い物ができて、「また来よう」と思っていただける店にすること。
- 存続するために必要な利益を残すこと。
詳しく説明します。
1は、近隣の大型ショッピングモール内にある店舗の駐車場がいつも混んでいることに注目して、「さっと来て、さっと買い物をして、さっと帰れるストレスフリーな店」という方向性を考えました。
そうすると、「レジにお客様の列ができたら絶対フォローに入る」とか、「売場で欠品しないよう品出しのときに気を配る」とか、いろいろなことをスタッフが考えて動いてくれるようになりました。
「お客様をお待たせしない」ということは、顧客満足の観点からも大事ですが、ロードサイドで、車での来店率が60%程の同店にとっては、駐車場の回転率も売上を上げるために重要でした。
2については、着任して最初の全員ミーティングで、「この店は利益率が低くて会社の基準を満たしていない」「本当に最悪の場合存続できない」ということをはっきりと伝えました。
そのうえで、
「けれど、みんなと話してお店に愛着を持っているのも分かったし、昔からのお客様もいる、この店を絶対に存続させたいし、この店ならではの良さをお客様に分かっていただきたい!」ということを全員に伝えました。
そして、利益を残すには、
- 売上を上げる
- 経費を効果的に使う(無駄遣いしない)
の2つしか手段はない、ということも伝えました。(利益=売上-経費だからね)
そうすると、じゃあ売上ってどうしたら上がるの?ということで
売上=買上客数×客単価
客数=入店客数×買い上げ率
客単価=平均買い上げ点数×商品平均単価で、
うちの店は目的買いのお客様が多いから、店頭欠品をなくせば「買い上げ率」はあがるよね、とか、
「商品平均単価」の高いアウターとかボトムスは接客でアピールできるように商品知識を身につけよう、とか、自分の仕事と数字を結び付けて考えてくれるようになりました。
三大経費は
人件費
設備費
広告販促費 ということも興味を持って覚えてくれ、
そうすると会社でお金をかけて広告を出したり販促POPを作ったりしている商品はその分売らなきゃね、と会社の意図も分かってくるし、
設備を乱暴に扱って壊したら修理代めっちゃ高いよ!となるし、
残業しない、ということにもすごく協力的になってくれました。
店舗でコントロールできる経費だと、水道光熱費もありますが、学校が終わって夕方から出勤してくれているアルバイトの男の子が「電気代がもったいないから」と暗闇でスタッフノートを確認している姿を確認したときは、笑いながらも感動してしまいました。(あなたが情報を確認することはお店にとって必要なことだから、そこは電気つけていいんだよ、と伝えたのは言うまでもないですが)
当たり前のことですが、スタッフにとってお店は「仕事をしに来るところ」。
仕事の目的は、「利益を残すこと」。
そして、「この店で仕事をすることを選ぶ(選び続ける)理由」は、究極的には「好きだから」「楽しいから」しかないのではないかと思います。
現実的には「家から近いから」とか「お給料がそこそこ良いから」とか、「ここしか受からなかった」みたいな何となく流れ着いた・・・ということもあるかもしれませんが、「家から近い」中でも選べるお店はいくつかあるのではないでしょうか。
店長が「どんなお店にしたいかを決めること」は、スタッフに方向性を示すこと。
「目標」に向かって仕事をすること、は楽しい。
「目標」が達成できたら、嬉しい。
そして、目標を達成することを意識すると、必ずクリエイティビティが発揮されます。
仕事の中に工夫が生まれる。
そうすると、より目標達成に近づく。
もちろんうまくいかないこともたくさんあります。
でも、店長が「決める」ことでものすごいパワーが生まれる「可能性」がある。
どんな優秀なベテランスタッフにも、どんな上司にもできない。
「店長」と呼ばれる人にしかできない、一番大事な仕事。
それが「どんな店にしたいかを『決める』こと」。
決めたら次はどうする?というお話はこちらをどうぞ。