『マルチ・ポテンシャライト』を読んで人生100年時代に備えよう
この本が「好きな事を仕事にしましょう」というお花畑系の自己啓発本ではないことを先にお伝えしておきます。
まずはこちらのTEDトークをご覧ください。
Why some of us don't have one true calling | Emilie Wapnick
首を縦に振って止まらなかった方は、ぜひこの本を読んでください。
個人的に、店長やマネージャーを楽しんでいる人はマルチ・ポテンシャライト率が高いのではないかと思います。
多数のタスクをこなし、突発的な事態にも対応できる人。無数の選択肢の中から、最善の手を素早く判断する人。
一方で、「店長の仕事は楽しいし嫌いじゃないけど、このままずっと続けるのもな…」と先を考えてモヤモヤする人も多いと思います。
今の悩みを晴らすためにも、今後のキャリアを考えるためにも本書は役に立つはずです。
マルチ・ポテンシャライトとは、「様々なことに興味を持ち、多くの事をクリエイティブに探究する人」。
「様々なこと」というのは、一見関連性がない場合も多々あります。でも、「なぜ」それに惹かれるのかを分析すると共通点が見つかるはず。読み進めるとワークが出てきますので、それらを実施すると自己分析も進みます。
(就活中の学生アルバイトさんに薦めてあげても喜ばれるかもしれません。)
マルチ・ポテンシャライトの5つのスーパーパワー
①アイデアを統合できる
②学習速度が速い
③適応能力が高い
④大局的な視点を持っている
⑤さまざまな分野をつなぐ「通訳」になれる
店長ならば、異動してすぐに店舗の経営状況とスタッフを把握しなければなりませんから、②や③は必要な能力です。
④は経営をする上では欠かせない視点ですし、様々な経歴のスタッフとともに働くうえで①や⑤の資質があると便利です。
「店舗」という狭い世界においてさえこのように活かせる場面がたくさんあるのですから、広い世界では活躍の場が無数にありそうです。
しかし、この資質をどうやってキャリアに活かせばよいのか?
「マルチ・ポテンシャライトのキャリアの参考になる教科書」が今まではありませんでした。
でも安心してください。本書がその教科書です。
4つのワークモデル
①グループハグ・アプローチ
②スラッシュ・アプローチ
③アインシュタイン・アプローチ
④フェニックス・アプローチ
ポイントは、「お金」と「意義」と「多様性」が確保されていること。その組み合わせが異なる4つのタイプが紹介されています。
私は③アインシュタイン・アプローチが自分に合っていると思いました。
アインシュタイン・アプローチとは、安定した「ほどよい仕事」をしながら、情熱を注げる取り組みを他に持つ、という働き方。
生活を支えるのに十分な収入を生み出しながら、他の情熱を追及する時間とエネルギーも残してくれるフルタイムの仕事に携わること。これは「安定」を求めながら多様性を追求したい人に向いている働き方です。
このブログも今のところ特にお金にはなっていませんが(笑)、楽しんで書いています。文章を書くことも楽しいし、過去にお世話になった方々に教えていただいたことを「恩送り」のつもりで書いているのでなんか良いことをしているつもりになれます。
こうして読んだ本をアウトプットすることで、自分の中に定着して知識に厚みが出るのも嬉しいことです。
朝から晩まで本業で疲弊してしまったら、ブログを書く時間が取れませんが、幸い「程良い時間」で収まっているので、こうして本を読んだりブログを書いたりすることが出来ています。
そして、これから始めたいと思っていることもたくさんあって、すべてを一度に始めるのは難しくても、少しずつ楽しんで始めることは出来そうです。
自分に合う「生産性システム」のつくり方
生産性とは、目標に向かって前進できるように対策を取ること。(中略)
ただ仕事を片付けるためのものではない。しかるべきことに取り組めているか、仕事が片付くスケジュールを組めているか、あるプロジェクトから次のプロジェクトへ移る時期を理解できているかも抑えて置く必要がある。
マルチ・ポテンシャライトに合った生産性の高め方4つが紹介されています。
①何に取り組むべきかを選ぶ
②時間を作る
③辞め時を知る
④仕事に取り掛かる
①の「優先プロジェクト」と「待機プロジェクト」の考え方は大変参考になりました。
・優先プロジェクトは1~5個まで。
・新しくやりたくなったことはまず待機プロジェクトへ。
・やりたい熱が高まったら優先プロジェクトのどれかと入れ替え。
さっそくワークをやってみましたがわくわくしすぎて楽しい(笑)。優先プロジェクトを絞るのが難しいですが、楽しく悩める貴重なワークです。
ここまで読んで、「自分はマルチ・ポテンシャライトだな!」と思った方はぜひPart3まで読み進めてみてください。
③辞め時を知る も大事なポイントです。
「終点」と「抵抗」の違いは、自分の心に敏感でないと気づけなそうです。
「終点」は「この分野で必要なことは学んだ」「朝飯前」「退屈」という感覚、
「抵抗」は「やめたい」と一気に湧き上がる感覚
「抵抗」の段階では落ち着いて続けることのほうが得るものがありそうです。見極めが大事ですね。
また、この章ではなく「フェニックス・アプローチ」のところで書かれていることなのですが、「嫌悪の目盛り」と言う話が出てきます。
・1~10まで目盛りのついた定規を思い浮かべる。
・1はすべてが最高で仕事が大好きな状態。
・10は職場にいくと思っただけで体の調子がおかしくなるような状態。
・5~8の段階が辞め時(9~10まで行ってしまうと円満にやめられない)
これはまさにそうだと思います。そういう方はぜひ次のキャリアを考えてほしいと思います。(私は今は3くらいかな…)
最初は軽い気持ちで読み始めましたが、なかなか実践的な内容で、すぐに出来るワークがたくさんあるところも良いなと思いました。
2018年のうちに本書を読み込んで、来る2019年に向けて助走を始めたいと思います!