『最高のチーム』は全マネージャーの教科書
ピョートル・フェリクス・グジバチ氏の『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法 』を読みました。
こちら。
この本は全店長・全マネージャーの必読書にするべきです。
会社で買って配っても良いレベルで、下手な研修をするよりみんなで集まってこの本を読んだ方が良いです。それくらい、どのページも参考になることが書かれていました。
マネージャーはよいコーチであれ
グーグルでは、マネージャーとメンバーで週1回、一人時間の面談を行っているそうです。(一人のマネージャーに対してメンバーはMAX7人。)
そこでは、業務のタスクの確認をするのではなく、メンバーが「心理的安全性を高く」感じて仕事ができるようなコミュニケーションを取っているそうです。時にはプライベートの悩みを相談する場合もあるとのこと。(プライベートな悩みが仕事の効率に影響を及ぼすことは誰しもあることです。)
そして、良いコーチであるためには、「GROW」で質問をすることが大事。
Goal あなたが目指していることは?
Reality いまどのくらい進んでいる?
Opiton 行動計画。もし目の前に壁がなかったらどう行動する?
Will 今日からどうする?
これを、面談の時はもちろん、普段のコミュニケーションに織り込んだり、対チームに対して投げかける。そして、主体性→創造性→情熱を持つメンバーを育んでいくそうです。
メンバーが自発的に業務ができ、
自発的にアイデアを出し、実行でき、
自己実現できるように育んでいくのがマネージャーの仕事
ピョートル氏はこのように言い切っています。
店長の仕事もまさにこれですよね!
フィードバックからフィードフォワードへ
「失敗させて学ばせる」をまだやっている人、いませんか?
今はもう「失敗させないように学ばせる」が主流です。
何より、失敗させる=お客様に迷惑がかかる、コストの無駄遣い、スタッフのモチベーションが下がる…等、良いことはありません。(結果として失敗から学べることはたくさんありますが、失敗を前提としてやらせる必要はありません。)
仕事を任せるときには、「取り掛かる前」「取り掛かった直後」「真ん中」「終了時」に進捗を確認してあげると良いです。
例えば在庫の発注をスタッフに任せるときには、以下のことを教えます。
①取り掛かる前
・在庫発注の仕組みを教える(システムの使い方、リードタイム等)
・発注量算出の根拠を教える(過去の売上実績、現在庫、フェイス在庫、ストック可能な在庫数、回転率等)
・「この仕事がなかったら」何が困るか、この仕事で店はいくらコストがかかるか等、
これからやる仕事の、店舗や会社に与えるインパクトの大きさを理解させる
・平均的な実施時間(〇アイテムを〇分で発注する)
・成功・失敗の判断基準(1週間の商売で欠品率、回転率が〇~〇%の間なら適正等)
②取り掛かった 直後
・発注数を決めた根拠(上位何品番かで)を説明させる。ズレがあれば修正する。
※確認した数値とその数値に対する判断基準(売上が「これから伸びる」のか「下がる」のか等)
・時間配分は問題なさそうか
③真ん中
・週の商売の真ん中では、発注量が適正か、過剰か、過少かの判断(過剰、過少は週中で手を打つ)
④終了時
・週の商売が終わったら振り返って次の商売に繋げる。
在庫が適正だったことで良かったこと、過剰・過少で困ったこと(スタッフやお客様が)を事例として挙げさせて、次の週にどう修正するかを考えさせる。
②の太字部分が「フィードフォワード」で、④が「フィードバック」ですね。
②をやらないと、へんてこな発注になってスタッフが苦労したり、お客様が欲しい商品を変えなかったりしがちです。
そして、在庫というのは目に見えますから、在庫がある間は発注を「失敗」したスタッフは負い目を感じ続けることになります。
そこは敢えて失敗させる必要はないのではないでしょうか。
世界の変化 ピラミッド型からツリー型へ
ピョートル氏は「世界的な変化」として7項目を挙げています。どれも刺激的な内容ですが、私が一番刺さったのは、「ピラミッド型からツリー型へ」という項目です。
ピラミッドというのは権力の象徴であり、「お墓」です。
たくさんの骸骨のうえで輝く権力…。
ツリー(木)は、根っこ(足元)こそが成長のカギを握っています。
メンバーを「骸骨」にするのか、「成長の源泉」として育むのか。
店長・マネージャーなら目指す道は当然後者ですよね。