人を育てるということ
人を育てるということは、とても難しいこと。
新人店長の皆さんなら、いうまでもなく日々実感していることでしょう。
あらためて、人に教えるときの心がまえを考えてみたいと思います。
その1.何のために、誰に何をいつ教えるかをきちんと考える
人材育成は、計画的に、段階的に行います。
ダメ店長は、思いつきで突発的に育成し(たつもりになっ)て、「あいつマジ使えない」などと言うわけです。(←言葉づかいがすでにダメ店長)
いちばん良いのは、組織図をちゃんと作ることです。
お店に必要な機能をすべて網羅した組織図。
そこに人を当てはめていきます。(人に仕事を付けるのは×)
べたですが、第一代行、第二代行、第三代行、みたいな店長不在時の責任者とか、レジトレーナー、DM担当者、のように必要なポジションを考えます。(人数が少なければ当然兼任もあり)
そして、今の組織図、3カ月後の組織図、半年後の組織図を考えます。
会社にもよりますが、半年後にお店のトップのスタッフは昇格して別の店舗に行く!と想定して、半年間でステップアップできるように計画を立てるのがおすすめです。
当然ながらストレッチした(背伸びした)目標を立てることになるので、スタッフみんなの成長につながります。
組織でいちばん上の人がいちばん成長する組織が健全です。
(そのためには新人さんを育成しなければならないと気づきますか?)
その2.店舗で発生するすべての業務について、
難しいことを易しく説明できるようになる
品出しは何のためにやりますか?
レジは何のために打ちますか?
「いらっしゃいませ」という挨拶はなんのためにやりますか?
朝礼ノートはなぜ確認が必要ですか?
予算を達成することがなぜ必要ですか?
それらをすべて自分の言葉で、何も知らない人に理解させることができますか?
なお、ダメな例。
上司が言ったから。
本部からの指示だから。
マニュアルで決まっているから。
これらの場合、店長は必要ありませんね。
伝言マンはいりません。
上司からの指示を、かみくだいて、お店やスタッフやお客様にどんなメリットがあるかをスタッフに伝えられる人が店長です。
指示が納得できない場合は質問しましょう。
上司が「会社からの指示だから」で終わらせる人の場合は残念!
それでも「何のためにやるのか」「なぜ必要なのか」目的を聞くことはできるはず。
3.スタッフの変化に気付く
人は、4つの段階を経て成長していきます。
①出来ていないことが分かっていない
②分かっているけど出来ない
③意識すれば出来る
④無意識で出来る(当たり前にできる)
そして、人の成長は一次関数でなく二次関数なんです。
その人のわずかな行動の成長成分を発見できるか、発見したらすかさず褒められるか。
昨日より成長したら、基準に満たなくても褒めていいんです。
「基準に満たないけど昨日より良くなった」ことを褒める。(基準はぶらしちゃダメですよ。変化を褒めればいいんです。)
それを続けていたら、半年後には、いや、早い人なら1か月後には見違えるように成長しますよ。
1か月って長期です。
周りから「あの人変わったね」と思われるには、1か月続ければいいんです。
(これ、店長さん自身にも言えることですよ。
「自信がない店長」は、1か月頑張れば「まあまあ自信がある店長」に変われます。絶対。
気の付くスタッフが、「あれ、店長最近違う」と気づいて、それが他のスタッフにも広まっていく感じ。「違う」と思われることを恐れないで!)
4.「人は育てられない」と自覚すること
ここまで書いておいて育てられないのかよ!
と怒られそうですが、これは真実です。
「人は、自ら育つ」ものなんです。
周りは、「成長したいと思う人が成長できる環境を整える」ことしかできない。
人を育てられると思うなんて、傲慢なことです。
だから、店長の役割は、「この店で私はもっと成長できる!成長したい!
いろんなことにチャレンジしたい!」とスタッフに思わせること。
そして、成長するための環境を整えたり、適切な関与をしていくことなんです。
そして、実は、スタッフが成長する店とは、店長自身が「自分が成長したい」と思って、いろんなことにチャレンジしてる店だと思います。
なんでもいいんですよ。
店長の仕事は、会社で発生するすべての仕事を凝縮した仕事なので、人事が好きな人は人材育成のことを勉強したり、コーチングを勉強したり、心理学を勉強したり。
数字が好きな人は損益を勉強したり、仕入れや在庫の持ち方を研究したり。
売場が好きな人はVMDとか、カラーコーディネートとか。
英会話とか、手話とか、語学系でもいい。
こうやって考えると、店長に向いてない人ってあまりいないんですよ。
どんな人でも、その人の強みを活かして磨けば、それなりの店長にはなれる。
というか、自分を育てられない店長が、どうやって人を育てられるというのでしょうか?
自分が成長していることを実感できるから、スタッフにそれを実感させてあげたいと思えるのではないでしょうか。
「自分と未来」は変えられる、「他人と過去」は変えられない。
自分が変われば、周囲の人も絶対変わります。
まずは自分から。