一人一役、全員主役
暑い日が続きますね。
8月は父の田舎に帰省し、のんびりしてきました。
どちらが勝っても初優勝というこの試合、結果は14対4で花咲徳栄高校の勝利でした。
今日は、惜しくも準優勝となった広陵高校の監督、中井監督について書きたいと思います。
高校野球に詳しくない方のために簡単に広陵高校野球部についてご説明しておきますと、
・創部100年を超える伝統校で、部員100名超
・甲子園常連校。プロ野球選手も多数輩出
・プロのスカウトが注目する「中村くん」がいる
・中村くんは大会ホームラン記録を塗り替えたすごい打者
・足も速い
・キャッチャーで強肩
・イケメン
普通なら、中村くんのワンマンチームになりそうなものです。
でも、中井監督は1回戦、2回戦と勝つ度に、
「中村のことは頼りにしてない」と言い、
大会記録を塗り替えても「まだ褒めません」と全然そっけない感じ。
采配があたっても「ぜんぶ勘でまぐれなんで」「まぐれが続くといいです」と近所のおじさんが世間話をしているような、本気なのか冗談なのか分からない口調。(ものすごく好きなんですけど!)
中村くんは中村くんで、
「仲間がいいところで回してくれると思うんで、期待に応えたいです」
みたいな、謙虚な自信を感じさせるコメントをするわけです。
何より、そんなすごいスラッガーなのに、中村くんが「4番」じゃないんですよ。
「3番」なんです。
もちろん、「3番」に置くことで1回から打席が回るので得点のチャンスが広がる、ということもあるんでしょうが、私はここに中井監督の強いメッセージを感じます。
つまり、「中村を主役にするな」というメッセージです。
中村くんは、SMAPで言えばキムタクなわけですよ。
キムタクを主役にしないために、他4人のメンバーはあそこまで魅力的になったわけです。(※個人的な意見です。)
中村くんを主役にしないためには、回りが成長して「すごい奴」になるしかない。
それがスローガンの「一人一役、全員主役」につながるわけです。
100人を超える部員に「全員主役になれ」って…めちゃくちゃじゃないですか。
でも、監督が「中村はすごくない」って言い続けて特別扱いしないから、メンバーは中村くんに寄りかかってないんですよね。
中井監督は試合中も選手をめちゃくちゃ良く見ていて、頻繁に選手交代をするんです。
そして交代した選手がよく活躍するんです。
これを店舗運営に置き換えますと!(ここからが本題!)
誰の目からみても「飛び抜けて出来るスタッフ(Aさん)」がいる場合の店長の戦略が
見えてきます。
一番ダメなのは、「Aさんはちゃんとやってるのに…見習えよ」とダメ出しの理由にするパターン。回りのメンバーはやる気をなくします。
中井監督に学ぶ場合、
「Aさんの周りのメンバーを伸ばし、かつ、Aさんがいちばん活躍できる環境を整える」
とするべきですね。
Aさんを特別扱いすると、危険もあります。
原理原則の判断が、「Aさんが言ったから○、×」にすり替わってしまうことがあります。
ベテランスタッフが「お局化」するのはこれが一因だと私は思っています。
いつの間にか、「コト」から「ヒト」に判断基準が変わってしまう。
でも「ヒト」は必ず間違いますから、それは危険なことなんです。
きっと元々の素質が素晴らしいんでしょうが、
中村くんの謙虚さを無くさせなかった中井監督はすごいなぁ、と思います。
(きっと、表では「すごくない」って言いながらも、
試合に使い続けることで信頼を示してきたんだと思います。)
ちなみに、中井監督は10年前の夏の決勝でも敗れて準優勝(その年の優勝は佐賀北)、
今回も準優勝ということで、応援していたのにすごく悔しいです!
(長年埼玉で暮らし、広島には縁もゆかりもないくせに、広陵を応援していました^^;
だってこんな魅力的なチーム、なかなか無いですもの!)
でも、準優勝も素晴らしいことですよね。
中井監督、広陵高校のみなさん、本当にお疲れ様でした!
感動をありがとうございます。